満喫!京都
最近海外旅行の記事を書きがちだが、私が住んでいる京都の良さも伝えたいので、この記事を書くことにした。ここでは、京都の祭りや近所の山を紹介したいと思う。
時代祭
先日、京都三大祭の一つとされる時代祭を観てきた。明治維新、江戸時代、安土桃山時代…と、歴史を遡りながら、当時の衣装を纏った人が行進するユニークな祭りだ。歴史を遡るという点が、厨ニ心をくすぐる。ところで私は、うっかりタイムマシンを開発してしまった大学生「オカリン」が歴史を改変して世界規模の陰謀に巻き込まれてしまうアニメ「シュタインズ・ゲート」が好きなのだが、この時代祭を観に行くときもオカリンの気持ちになりきっていた。私も京都の過去へタイムリープしてしまうのか…フーハハハ!という気持ちになった。 …これ以降アニメの話は一切出てこないので忘れて頂いても構わない。
後ろに尋常でない大きさの鳥居があるが、これは平安神宮のものである。大きすぎではないだろうか?一体どういう設計をしてしまったのだろうか。そう言えば、京都には面白鳥居スポットが幾つかあり、無数に鳥居が立っている伏見稲荷が有名である。初めて伏見稲荷に行ったときはあまりの鳥居の多さに鳥肌が立ったが、平安神宮の鳥居の大きさにも圧倒された。
そんなことを考えていると鉄砲隊が歩いてきた。こういうのを見るとワクワクしてしまう。私も鉄砲を構えたい。
ぼんやりと眺めていると、江戸時代の行列がやってきた。「江戸時代」と書いてあるだけで、江戸時代にタイムスリップした気になってしまう。
江戸時代と言えば「籠」だ。この籠の乗り心地を知りたい。将来は籠に乗れるような役職に着きたいものだ。
しばらく観ていると、「江戸時代婦人列」がやってきた。なるほど、こういうのもあるのか。
等身大の雛人形のようだ。心なしか、押している人はちょっと疲れていそうだ。
この長いやつは何か分からないのだが、格好いいので撮影してしまった。長いと格好いいという方程式が私の脳内にある。
この銃も比較的長いので、格好良いと感じて撮影した。
この兜はバイキングの様で良い。実用性には疑問が残るが、いかにも悪役が被っていそうな兜である。
そんなことを考えているうちに、もう室町時代だ。まさに光陰矢の如しである。
やはり、刀の格好良さも避けられない。日本等は持っているだけで格好いい。その上長いのだから、尚更格好いい。
時代祭の最後は弓で締めようと思う。途中から何時代か分からなくなってしまったが、とにかく色々な時代を旅した気分になった。私のようなにわかでも歴史を楽しむことができる時代祭は偉大である。
大文字山
五山の送り火をご存知だろうか。京都の夜に突然漢字が灯される祭りで、「大・妙・法・⛵・大・鳥居」が灯される。この文字のチョイスには謎が多く、私が特に納得できないのは「大」である。文字が重複しているではないか。この重複した「大」のうち、片方は大文字山で点灯される。この大文字山、ちょっと山登りするのに丁度よいので気に入っている。大文字山山頂までの道のりは程よい山道になっているのだが、片道1時間弱で登ることができてしまう。それ故、ちょっとした空き時間に山登りを楽しむことが可能なのだ。ここでは大文字山ハイキングの様子を紹介したい。
大文字山の入り口は、意外にも銀閣寺の隣りにある。銀閣寺の前の坂は京都っぽいお店で繁盛しており、ついつい抹茶アイスを食べたくなってしまう。この日も抹茶アイスの誘惑に抗えず、購入してしまった。普段それほどアイスクリームを買うタイプではないのだが、銀閣寺坂では不思議と購入してしまう。銀閣寺は侮れない。
入り口はこんな感じだ。山に入ると木々の香りが心地よく、この時点で「山に来て良かった~」と感じる。
途中から早速「山に来るんじゃなかった」と感じる。やっぱり登山はしんどいのだ。
あと少しかな?と思ったところで絶望的な階段が待ち受けているのも大文字山の醍醐味だ。それまではバラエティに富んだ山道だったのに、終盤になっていきなり無機質な階段が待ち受けているのだからタチが悪い。
何だかんだで、いよいよ山頂に到着した。ここまで上り切ると、「登ってよかった~」と感じるのものだ。この謎のオブジェは、大文字焼きの「大」のうち、交差している「+」の部分である。間近で見ると全然字が繋がっていなくて面白い。
山頂からは京都の街並みが一望でき、大変気持ち良い。この景色を眺めながらお昼ご飯を食べると、普段の何倍にも美味しく感じる。昔の人もこの風景を観ながらご飯を食べたのだろうか、と想いを馳せる。
先程紹介した時代祭を観た、平安神宮の巨大な鳥居も、ここから眺めることができる。周りのビルと同じサイズ感で鳥居が立っているのはシュールだ。この距離からでもやっぱり鳥居のスケールがおかしいと思う。西には京都タワーも見え、京都がミニチュアのように小さく見える。こんな風景を眺めていると日頃の悩みも小さく見え… るが、下山するとそんな気持ちも吹き飛ぶのが人間だ。
〆
ブログのオチを考えていたのだが、シメと言えばしめ鯖なので、好きな鯖寿司のことを書いてみようと思う。私は寿司の中で鯖寿司が一番好きで、何気ない瞬間に鯖寿司のことを考えてしまう。まず、鯖寿司のテカり具合は筆舌に尽くしがたい。鯖の皮をそのままに握る大胆さ、そして鯖の皮の模様がたまらない。寿司のネタがアフリカの先住民アボリジニのアートを想起させる芸術性に富んだ模様というだけで、テンションが上がってしまう。もちろん味も大変素晴らしく、ただ脂が乗っている魚というだけではなく、引き締まった印象を受ける。特に京都「いづう」の鯖寿司が大好物なのだが、ここの鯖寿司はなんと昆布に包んである。食べるときに昆布を外す工程は、プレゼントの袋を破るような楽しさがある。この昆布が酢飯のアクセントになっており、普通の寿司では味わえない深みを醸している。誕生日にはケーキの代わりに「いづう」の鯖寿司が欲しい。
ところで、以前居酒屋に入ったときに何気なく「鯖のきずし」を頼んだことがある。「きずし」と名乗るからには寿司なのだと思っていたが、酢飯のない刺身で失望した。「ずし」は一体なんなのか。これは寿司ではない!これはこれで美味しいのだが、寿司だと思って頼んだ落胆具合は筆舌に尽くしがたい。タイムマシンがあるならば、過去の自分に「きずしは寿司ではない」と伝えたい。そういう戒めを込めてIDを「sabanokizushi」にした。これからは、「きずし」かと思えば寿司だった、そういう記事を書いていきたい。
お家でソビエト気分
ロシアへの興奮が冷めない。寝ても覚めてもロシアのことを想ってしまう。
キリル文字、ウォッカ、ボルシチ… 私の頭はロシアで埋め尽くされている。
決めた。今週はロシアウィークだ。ハロウィンのお祭り気分のようにロシアグッズを飾り、ロシア料理を作ってお祝いしたい。
旅路
ロシアへの思いが爆発した私は、ついに先月サンクトペテルブルクへの旅立ちを決意した。 出発が待ちきれず、カレンダーを見ながら日付を数える毎日。修学旅行前の胸の高鳴りに錯覚した私は、修学旅行風の旅のしおりを作ったのであった。詳しくは過去の記事を読んで欲しい。
ロシアへの道のりは遠い。旅行代理店に間違ったチケットを発券され、電話はつながらず、挙句の果てに関空が崩壊するなど数多の困難が待ち受けていた。
やっとの思いで出国し、絶望的に何もないウラジオストク空港で、絶望的にまずいチーズを食べ、見知らぬおばさんと会話した。
旅費を抑えるためロシアのLCCを使い、ハッピーセットみたいな箱に入った宇宙食みたいな機内食を食べた。あの味も、今となっては懐かしい。
長い道のりで到着したサンクトペテルブルク。そこで食べたボルシチやペリメニ、ビーフストロガノフの味は一生忘れないだろう。
美しい宮殿の数々に魅了され、深い深いメトロにも挑戦した。全てが新鮮で、印象的な旅となった。
部屋をロシアに染めよう
そんなロシアだが、一回行くだけでは物足りない。あの手この手を駆使し、自宅でもロシア気分を味わいたい。 例えば入浴剤「草津」や「別府」を入れるだけで、なんとなく草津や別府に行った気分になるのだから、家にロシア要素を取り入れることで、ロシア生活を送れるはずだ。
1. 飾ろう! マトリョーシカ
最初の一歩として、部屋にマトリョーシカを置くことにした。
彼はサンクトペテルブルクの街角で購入した、チェブラーシカというアニメのキャラクターをモチーフにしたものだ。
かわいい!と胸が高なり、値段も1000円位と手頃だったので、連れて帰ってきた。
「かわいい!」は実際に口に出したのだが、そのときロシア人の店員さんに「Yes, Kawaii!」と言われてちょっと恥ずかしかった。KawaiiはTsunamiやHentaiのように世界共通なのか。
チェブラーシカはロシアの国民的アニメだと思っていたが、店員さん曰く「ロシアではそんなに有名じゃないけど、何故か日本人に人気」らしい。そんなに有名じゃないのか…
買った時は興奮のあまり気にしていなかったのだが、本当のチェブラーシカはこんな見た目だ。
え、マトリョーシカの絵ちょっと違うんじゃない?というか、ちょっと雑じゃない?
中国の偽ドラえもんに近いものを感じる。なんということだ。私は観光地で浮かれてパチモノを買ってしまったのか。
少し落ち込んだが、「チェブラーシカのインスパイア系」だと思うことで納得した。
気を取り直し、マトリョーシカを分解してみる。
首が取れた!絵面がちょっと怖い。しかし分かっていても、中から人形が出てくると嬉しいものだ。更に開けてみよう。
出てきた!段々と絵が雑になっている気がするが、楽しい。もうひとつ開けよう。
出てきた!え、誰? 誰? 流石にこれ以上は開かないだろう。
そんな予想をあざ笑うかのごとく、更に豆粒のようなマトリョーシカも出てきた。もはや何の絵かわからない。
ここまで小さいものが出てくるとは思わず、お得感に興奮した。
並べてみるとかわいい。部屋が少しロシアに近づいたような気がする。
2. 飾ろう!ソビエトアート
完全にロシア気分になったので、ここで秘密兵器を投入する。
ロシアで買ってきた、ソ連時代のアートポスターだ。ポスターはテーマが色々あり、「ソビエトは最高!」「資本主義に死を!」など激しいテーマが多い。それらも魅力的ではあったが、部屋に飾ったときに共産主義者だと間違われては困る。あまり主張が強くなさそうな「宇宙は我々のもの!」と「悪徳(酒・タバコ)追放!」を購入した。宇宙は普通にかっこいいし、資本主義より酒とタバコの方が悪のイメージとして共感されやすいからだ。
特に、私はソ連時代の宇宙物に憧れがある。先日もロシア映画を観たので、気になる人はチェックしてほしい。
それではポスターの中からオススメのものを紹介しよう。
まずはこちら。「名声!」
ガガーリンの格好良さと、堂々と掲げたシンボルの危険さがハラハラする。宇宙ポスターと見せかけて、共産主義ポスターだ。ソ連はガガーリンのことが大好きなので、今後もポスターには良く出てくる。
つづけて「平和と進歩の名で!」
タイトルの「平和」にはかなり疑問が残る。宇宙遊泳するガガーリンは平和そうな顔をしているが、ソ連の宇宙開発は平和と無縁な気がする。
そして「遠くまで来たぜ!(意訳)」
申し訳ないが文章が長すぎてGoogle翻訳に入れるのが大変なので、ご容赦願いたい。
ソビエトポスターは陰影の付け方が格好良く、素敵なデザインだ。
次は「名声!」
1枚目とタイトルが被っている。少し名声を主張しすぎではないか。
そしてお気に入りの一枚「共産主義の栄光へ!」
力強いタイトルとは裏腹に、ポーズがとにかく楽しそうで、こちらまでバンザイしたくなる。LINEスタンプとして販売しても使えそうである。
ロケットの格好良さと、共産主義の主張が見事に融合している。このシンボルをここに入れるのか、と感銘を受けた。
これも結構お気に入りだ。ソ連の人工衛星はアンテナがたくさん出ていて素敵なのだが、これは月の地名までちゃんと書いてあるのが好印象だ。
これはシャトルの乗員に注目だ。ガガーリンばかり描きがちだと思いきや、最初に宇宙へ進出した犬達をちゃんと描いている。犬もポスターになって光栄だろう。
さあ、これら宇宙ポスターの中から栄えある優勝作品を発表しようと思う。
優勝作品のために、額縁を買ってきて入れることにした。それではご覧いただこう。
「ソ連の科学技術の最大勝利」
今まで紹介したポスターの中では比較的地味なデザインであるが、さり気ないデザインが日常に溶け込みやすい。夜、寝る前にソ連の技術に想いを馳せることができる。
落ち着いた絵柄であるが赤い星が盛り込まれており、しっかり打ち上げから始まる衛星軌道も描いてあるのが私のツボを突いた。必要以上に共産主義を主張せず、科学的な描写が味わい深い。
タイトルも「ソ連の勝利!」ではなく、あくまで「科学技術」の勝利なので、ロシア語を読める友人が遊びに来ても安心だ。
つづけて禁酒シリーズもご紹介しよう。
ウォッカがロシアの街を溶かす。目元が虚ろなアル中のおっさんがいい味を出している。私も酔っ払って酒をこぼした時、こんな顔をしていたのだろう。
「パパやめて」 子供に言わせるのは卑怯だ。
これは笑った。一体全体どういうシチュエーションだよ。この表情がたまらない。
いくら酔っても街路樹を折ることはないだろう。パワフルな酔い方に笑う。
さあ、いよいよ一位の発表だ。こちらも例によって額縁を購入した。額縁を2つ購入するのは生まれて初めてかもしれない。
一位は、自分への戒めの意を込めて、酒瓶の前に掛けることにした。
「NO!」世界史の教科書とかにも載っている有名な絵だが、シュールでお気に入りだ。きっと楽しくステーキを食べていたであろう彼が、ウォッカを渡されたとたんこの表情である。私がこんな顔で断られたら、泣いてしまうかもしれない。
これから夜一人でお酒を飲むときに、このポスターを眺めて戦意喪失しようと思う。額縁の中の彼は飲みたがっていないのだから。
ロシア料理を味わおう
部屋がロシアに近づいたので、続けて料理を味わいたい。
1. 作ろう!ロシアの朝ごはん
まずは朝食から攻めようと思う。ロシアでは朝食にカーシャというお粥が出てくるので、これを食べたい。
しかしカーシャは蕎麦の実などを煮込んで作るため、難易度が高い。そこで、サンクトペテルブルクのスーパーで買ってきたインスタントカーシャを味わおうと思う。
味には色々なバリエーションがあるが、今回はきのこ味をチョイスした。
お皿に出してみる。コーンフレークの残りカスみたいで頼りない見た目をしている。本当にお粥になるのだろうか?
お湯を注ぎ、待つこと3分。
カーシャが完成した。ほんのりと穀物の甘みが広がり、きのこの風味が漂う。日本では絶対に出てこないタイプの味で、異国情緒が漂う。
ただ、めちゃくちゃ美味しいわけではない。素朴な味だ。
あくまで「朝にカーシャを食べる」という行為が大事なのだ。「スタバでMacbookを広げる」のと同じようなものだ。そう自分に言い聞かせた。
2. 作ろう!巨大ペリメニ
ペリメニというロシアの水餃子がある。
丸っこい形をしているのが特徴で、茹でたものをサワークリームと一緒にいただく。
モチモトとした食感が大変おいしく、ロシア旅行中には「毎日食べたい!」と思ったものだ。
大抵のペリメニは一口サイズなので、欲を言えばもう少し大きい物を食べてみたい。
しかし、日本でペリメニを食べられる店は多くなく、もちろんスーパーにも売っていない。これは作るしかない!と使命感に駆られ、料理することにした。
まずは具を作る。合挽き肉に刻んだ玉ねぎを加え、塩コショウとニンニクで味をつける。普通の餃子と似ているが、ニラは入れない。
続けて皮を作る。強力粉と薄力粉に水と卵を加えて手でひたすらこねた。
市販の餃子の皮を使うか悩んだのだが、モチモチの食感を大事にしたいと思い、真心込めて生地をこねた。
30分ほど寝かせ、一口大をちぎる。
伸ばし棒(なかったのでサランラップの芯で代用した)で生地を広げ、肉をのせる。
棒をケチったことを後悔した。生地がモチモチを通り越してベタベタしており、あらゆる場所にくっつくのだ。
肉を包む。餃子と違ってひだを作る必要がないので、助かった。
そして、端から丸める。この工程が最重要であり、ペリメニのアイデンティティは丸めることで保たれている。
つくったペリメニたちだ。生地が予想以上にベタベタしており作業は困難を極め、歪な形になってしまった。
一つ一つもかなり大きい。果たして無事ペリメニになるのか? ただの「餃子団子」になってしまうのではないか?私は不安に駆られた。
そんな不安を抱きつつ、鍋に一つずつ投入した。
彼らが美味しいペリメニになってくれるのか、ハラハラした。受験生の子を持つ親が控室で待っているときはこんな気分だろうと思う。
待っている間、ロシアンウォッカを注ぐことにした。ツァールスカヤというウォッカで、ロシアのスーパーで購入した。
このウォッカのどこに惹かれたかと言うと…
窓越しにおっさんの顔が見えるのだ。
スーパーで目があった瞬間、「これだ」と確信した。酒越しに絵が見えるギミックは「ワンカップ大関」のそれと似ているが、こちらは距離感をうまく利用している。このまま飾っておきたい。
さて、ペリメニが茹で上がったので水を切り、サワークリームを添えて盛りつけた。
肝心の味は…
ペリメニである。私がロシアで食べたあのペリメニの味がする。完全勝利だ。
嬉しさのあまり、一人でウォッカを乾杯した。ペリメニを一人で独占できる優越感がたまらない。
分厚い皮が最高にモチモチしており、中からは肉汁が出てくる。それがサワークリームと絶妙にマッチしている。
ウォッカも大変おいしく、シンプルな強さのなかにフルーティな旨味がある。
奥にボルシチが写っているが、実はポーランドで買ったインスタント「バルシチ」だ。
独特の薬味の香りが漂い、ボルシチとはまた違う趣がある。
しかし、私はボルシチではなくバルシチで妥協してしまったことに憤りを隠せなかった。もうボルシチも作るしかない。
3. 煮込め!ボルシチ
肉と野菜、そしてサンクトペテルブルクのスーパーで購入したボルシチの素を用意した。
本場のボルシチはビーツがキャベツの千切りのように入っているのだが、日本のスーパーでビーツを手に入れるのは難しい。
スープの素にビーツが入っていると信じ、代わりにキャベツを入れることにした。
まずは肉と野菜を炒める。
続けてボルシチの素を投入した。
全然赤くないことに不安を覚えた。もしかして、ビーツを入れなければ赤くならないのでは…?!
混ぜると微かに赤くなったような気がするが、思った色と違う。
煮込んだら赤くなりますように… 僅かな希望を鍋に託し、30分見守った。
緊張の面持ちで蓋を開ける。
頼む、ボルシチになっていてくれ。
…赤い!ボルシチになってる!
めちゃくちゃ美味しそうで、涙が頬を伝った。
この後マンションの入り口にあるポストに行ったのだが、外からほんのりボルシチの匂いがして笑った。きっと他の住人もボルシチの匂いを嗅いでいただろう。しかし、これを独占できるのは私だ。優越感に浸り、一人ほくそ笑んだ。
ロシア料理で重要なのは、サワークリームだ。ヨーグルトとチーズの中間みたいな味がするもので、日本では馴染みがないが、これがないとロシア料理とは言えない。
幸い近所のスーパーにサワークリームがあったので、ボルシチに添えることにした。
完成だ。気分を出すためにライ麦パンを添えた。
一口すする。
優しいながらも本格的な味わいが口に広がる。野菜と肉の旨味が溶け出して、サワークリームの酸味が良いアクセントとなっている。
どこか懐かしいような感じがして、不思議な郷愁感を覚えた。私はロシア出身だったのかもしれない。
一気に三日分作ったので、翌日もボルシチを食べたのだが、味の変化に感動した。
カレーと同じ要領で、一晩寝かせることで旨味が更に染み出したのだ。
「カレーとボルシチは寝かせろ」という人生の諺を心に刻んだ。
追記
後日、市販の餃子の皮でペリメニを作った。調理時間が圧倒的に短縮され、見た目も綺麗になった。
しかし、モチモチ感や風味は手作りに及ばないのが残念であった。急いでペリメニを作りたい時は、こちらで妥協したい。
最後に
非日常であったロシアが日常に組み込まれた瞬間、ロシアとの距離がぐっと近くなるのを感じた。
マトリョーシカを眺めながら、朝にカーシャ、昼にペリメニ、夜にボルシチを食らい、ウォッカを飲む。
ふと横を見れば、ソビエトの宇宙開発が描かれている。もう私の心はソ連だ。
私のロシアウィークは幕を閉じたが、これからもロシア料理を作るだろう。
これからも勝手にロシアとの距離を縮め、思い出を煮詰めていきたい。ボルシチのように。
映画「サリュート7」がアツい
先日、飛行機の中で映画「サリュート7」を観た。この映画、「ソビエト版 ゼロ・グラビティ」といった雰囲気で、大変面白かったので紹介する。ネタバレ全開なので、嫌な人は下のリンクからレンタルして欲しい。
PVもあるので、ぜひ見てほしい。このブログで扱う画像は全てこのPVで使われているものだ。
ロシア映画に求めるもの
今までの人生でロシア映画というものを見たことが無かったが、宇宙×ロシア(ソ連)という組み合わせは実にロマンがあって格好良いと思っている。例えば映画ドラえもんを見るときは、泣くスネ夫や男らしいジャイアンといったお決まりの要素を期待すると思うが、私がロシア映画に求める要素は次の通りだ。
- ロシアならではの排他的態度
- 自国を讃える空気
- ウォッカ
この映画は上記3つを満たした素晴らしい映画なので、大変おすすめである。
はじまり
かつてソ連が打ち上げた宇宙ステーション「サリュート7」が突然制御不能になる。大変だ、どうにかしないと地上に落下してしまう。 ソ連の重鎮たちが集まり、出てきた疑惑は…
「アメリカの妨害では?」
この冷戦感がたまらない。ロシアの映画はこうでなくては。
どきどきドッキング
優秀な宇宙飛行士2名を制御不能のサリュート7に送り、頑張って復旧させようという話になった。サリュート7に入る為には手動でドッキングする必要があり、かなりの難易度だ。
サリュート7はクルクルと全方位に回転しており、シャトル内のモニタをみながらタイミングを合わせる必要がある。地上にも緊張が伝わり、皆が息を飲むなかサリュート7へ近づく…
…モニタの中央に結合部を捉えた。このままドッキングできそうだ。少しずつスラスターを吹かせる。
…あと少し、あと少しでドッキングだ
…突然ビープ音が鳴り響き、ドッキング失敗のダイアログが表示された。軌道がズレていたのだ。
このシーンに懐かしいもどかしさを覚えた。あれだ、ゲーセンにある、穴に棒を入れる奴だ。
失敗の報告を受けた地上は落胆と同時に、新たな司令を練りはじめた。シャトルの2人は当然指示を待つかと思いきや…
「いくぜ!」と言わんばかりに突然ドッキングを始めた。私はたまげた。待機司令を鮮やかに無視する漢気に感銘を受けたのだ。
ガチャン、と軽快な音をたてドッキングは無事に成功した。基地の皆は大喜びだ。指令無視して良かったのか?私はモヤモヤした。
潜入!そして炎上
サリュート7は氷に包まれていた。漏れた水が宇宙の冷気に晒されたのだ。予想外の寒さにたじろぐ2人だが、地球から驚愕の指令が飛ぶ。
「ソ連の漢なら冬に強いはずだ」
そんな理屈でいいのか?言葉の力強さにたまげた。まともな別の役員が、気温の危険性を説明し、作業は2日が限界だと力説する。それを受けた司令官は…
「よし、4日やる」
なぜだ。こんなに命令を無視する組織でいいのか?
宇宙に漂う2人は無事ステーションを修理し、熱で氷を溶かすことに成功した。漂う水も空気で飛ばして一箇所に集め、無事に再起動が完了した。
嬉しくなった2人はこっそり持ってきたウォッカで祝杯を挙げた。宙に浮かべた球体のウォッカをすすり、ご満悦だ。
宇宙ステーションでアルコールを浮かべていいのか不安になったが、映画だから大丈夫なのだろうと思っていると…
不謹慎だかちょっと笑ってしまった。完全に自業自得である。
脱出計画
燃えるサリュート7を隔離し、2人は命からがらシャトルへ戻った。しかし新たな問題が浮上する。残りの酸素が少なく、1人しか帰還できないのだ。
地球の司令官はやるせなさで激昂し、椅子を投げてガラスを破壊する。
いや、ミッションの日程を無理に切り詰めたのはお前だろ。お前が怒るんじゃねえよという気持ちに包まれた。
1人での帰還を命じられた乗員は、もう1人を見捨てることは出来ない、と命令を拒否する。2人で船外作業に移り、最後の賭けに出た。サリュート7を修理し、酸素供給システムを回復させるのだ。
そのころ地上ではアメリカがシャトルを打ち上げ、宇宙へ飛び出した。彼らの助けを待てば2人とも帰還できるかもしれない。 そんな期待を裏切るかのように委員会が出した結論は…
「アメリカに技術を奪われるまえにサリュート7を撃ち墜とそう」
どこまでも非常な国である。
修理
船外にでた2人は、修理パネルにアクセスすべく曲がった煙突をハンマーで懸命に叩く。しかし、いくら叩いても壊れる気配がない。
徐々に酸素がなくなり、気温も下がってくる。
叩いても、叩いても、何も変わらない。
もうだめか… と思われた刹那、煙突が外れた。
これで修理ができるが、まだ安心できない。修理はこれからだと思った。
そんな私の不安を嘲笑するかの如くサリュート7は元気に再稼働を始め、無事に酸素が供給されたのだった。
私は唖然とした。そんな力技だけで直るものなのか?!ハンマーで叩いただけでは?!
そんな2人の側をアメリカのシャトルが通り過ぎ、2人は「ソビエトの勝利だ」と言わんばかりの敬礼を見せつけるのだった。おしまい。
いい話のような終わり方をしたが、冷静に考えて欲しい。
勝手にウォッカで炎上し、ドタバタしただけではないのか。
この雰囲気、ツッコミどころはサリュート7でしか味わえない。皆さんもぜひご覧ください。
名古屋都市 ポーランド
ショパンの街ワルシャワ
いよいよ旅も終盤、最後の都市であるワルシャワに到着した。
旧市街は趣のある景観を楽しめるが、それ以外は極めて地味だ。展望台に登っても「ふーん」という声が漏れてしまう。
ちょっと大きめのビルはあるが、ニューヨークや東京ほど都会な印象は受けない。正直観光スポットもそんなに無いので、名古屋みたいな街だ。
ワルシャワはショパンの出身地でもある。ショパンミュージアムに行けば、彼のピアノなどを見ることができる。
個人的には、キュリー夫人も欠かせない。私が幼い頃に読んだ伝記で一番記憶に残ってるのがキュリー夫人で、二番目がスティーブンソン(蒸気機関作った人)なので、是非ともキュリー夫人博物館は訪れたかった。彼女に関しては、夫のピエールが馬車に轢かれたエピソードが印象的だった。大事な所はそこじゃないのに。
さて、そんな彼女の展示がこちらである。
当時着てたであろう服も展示してあり、ファンには堪らない。
こちらは実験ノートだ。今でも放射線を出してると噂に聞いたことがあるが、これは大丈夫なのだろうか?
ポーランド料理たち
ポーランドには「バルシチ」というビーツを煮込んだスープがあるらしいが、ボルシチと似過ぎていたのでスルーしてライ麦のスープを頂いた。「バルシチ」で検索しても、具のないボルシチみたいな説明ばかり出て来て不憫だ。
これがライ麦のスープ。
少し酸っぱく、ほんのり落ち着く味だ。ポーランド人の叔母が作ってくれた料理を思い出す。
続いて、煮物料理「ビゴス」。ザワークラウトと肉が煮込んであり、味はザワークラウトの成分が強い。
これも不思議と懐かしい味がして、叔母のことを思い出す。
そして、餃子系料理「ヒンカリ」。ペリメニの親戚のようだが、小籠包にしか見えない。中には肉やチーズが入っている。
このヒンカリだけポーランド料理ではなく、ジョージア料理らしい。
あと、私にポーランド人の叔母は居なかった。
トランジット
このトロピカルな二枚はシンガポールのチャンギ空港で撮ったものだ。この空港、蝶やひまわりの温室があり、ミニ映画館もあり、ゲーセンまである。そして全て無料だ。空港に蝶がいるだけで舞い上がってしまう。
帰りはシンガポール航空を使ったが、食べ物や設備全ての水準が高く、お気に入りの航空会社だ。
機内ではカクテル「シンガポールスリング」も頼めて嬉しい。
ロシアのS7航空は何だったのか、と思わされる程快適な空の旅で日本に帰ったのであった。
リトアニアで突然変異したボルシチを味わう
さて、このビリニュスの面白スポットは…
…
…
…
残念ながらビリニュスに面白いところはない(失礼)。
強いて言えば、コンビニより教会がたくさんあり、ローマ法王の写真が貼ってある。また、コハクの名産地でもある。
公園を歩いていると頭上からイガグリが大量に落ちてきて危ない。イガグリ共和国だ。
ガラパゴスボルシチ
ボルシチはロシアの伝統的スープだ。復習のために写真を貼っておく。
このボルシチが、リトアニアでは突然変異を遂げて独自の系統樹を伸ばしているらしい。一体どんな進化を遂げたのか、皆さんも想像してほしい。
リトアニア料理を食べられる店に入り、早速例のスープを注文する。出てきたのがこれだ。
間違えた。これはエストニアのスーパーで買った謎のファンタだ。青いし、ラベルにはお花の絵が描いてあるし意味不明だ。「with lemon juice」とあるが、肝心のメインの味が全く想像できない。お花味なのか?
飲んでみると、ライム的な爽やかさのある味だった。しかし、依然として何味なのかが判明せずにモヤモヤした。
さて、気を取り直してスープを紹介しよう。
ピンクだ。スープにしてはビビッドすぎる色に唖然とする。流石のアメリカにもこの色のスープはないだろう。
この色はボルシチにも使われている野菜「ビーツ」に由来する赤と、サワークリームの白色で構成されていると思われる。ボルシチより酸味があり、さっぱりとした冷製スープに仕上がっている。
そして、リトアニア名物のコレを頼んだ。
敢えて和訳すると「いももち」だ。じゃがいもをすり潰した餅で、肉を包んで揚げてある。
ついでにビールのおつまみも注文したら、例のガーリックパンが出てきて興奮した。また会えるとは。
次はポーランドだ。どんなスープが出てくるのだろう(つづく)
ラトビアでブレーメンの音楽隊を追う
バルト三国シリーズ第二弾、ラトビアでブレーメンの音楽隊を追う。
ラトビア
バスに揺られてリガへ着いた。エストニアほどではないが、ここも道路が掃除されていて綺麗である。
リガ中央市場は地元の人たちで賑わっている。チーズの店が偏っており、ここはチーズ屋さん、ここもチーズ屋さん、ここも… チーズ屋さん といった具合だ。
京都の鴨川では、カップルが等間隔に並ぶ「鴨川等間隔」を見ることができるが、リガでは「鴨が等間隔」を観測できる。世紀の発見だ。
料理たち
ふらりと立ち寄った店でビールのアテに「ガーリックパン」を頼んだ。日本でガーリックトーストと言えばフランスパンの上に色々塗ってある物だが、これは根本的に違う。ガーリックが黒パンの生地に練りこまれており、さらに揚げてあるのだ。
サクサクともしっとりとも言えぬ食感と、ニンニクの香りに襲われる。うますぎて、もはや暴力だ。無限に食べることができる。
そしてこちらはラトビア名物(?)巨大ミートボール。でかいミートボールだ。素直に美味しい。
こちらに来て気づいたが、バルト三国の料理はドイツやロシア付近と似ている。芋やザワークラウトが良く出てくるし、穀物を煮込んだお粥「カーシャ」はロシアでも出てきた。ボルシチの親戚みたいなスープもある。地続きの国々を横断すると、こういう気づきがあって楽しい。
ブレーメンの音楽隊
童話「ブレーメンの音楽隊」をご存知だろうか。家を失った動物たちがドイツのブレーメンを目指して旅する途中、民家に泥棒がいたので組体操のように重なり、追い出してその家に住むという話だ。その動物たちの像がここリガには存在する。
ちょっと待ってくれ。
最後の問について、リガはブレーメンの姉妹都市なので、像が贈られたとのことだ。辿り着いてない都市の姉妹都市に像が建てられるなんて、動物たちも光栄だろう。
エストニアで味噌ラーメンを味わう
エストニアと聞いて何を思い浮かべるだろうか?バルト三国にそんな国あったな〜 程度ではないだろうか。ヨーロッパの中でもあまり馴染みのない国で、味噌ラーメンを食べるとどんな味がするのだろう。
エストニアの朝
夜行バスでエストニアに来たら、夜明け前に着いてしまった。折角なので、ホテルのフロントで聞いた日の出スポットで朝を迎えることにした。
ダーン…
ダーン…
ダダーン!
壮大な音楽が聞こえたが、これは私の心のBGMではなく、本当に聞こえたのだ。日の出にあわせて町内放送でBGMが流れてくる街、「演出」を分かっていて素敵すぎる。
美しい街 タリン
エストニアのタリンにある歴史地区は、街自体が世界遺産である。実際歩いてみると、おとぎの国のような美しい街並みが続く。
オープンワールドのRPGみたいだ。ゲームでは少し外れた所を歩くと見えない壁や車に妨害されてしまうが、タリンではどこへでも行ける。究極のオープンワールドだ。
この街並みを上から見るために、タリンで一番高い塔に登った。
圧巻だ。さらっと登ったように書いたが、階段がめちゃくちゃしんどかった。5回くらい「まだ階段あるの?」と思った。
エストニア料理
まずはエストニアの味を知ろうと思い、旧市街の隅にひっそりと門を構えるレストランで、エストニア料理を注文した。
これは発酵飲料「KALI」。ノンアルコールで、今まで経験したことのない味がする。味を伝えたいが、何にも例えられない。少し酸味があり、麦芽のほのかな甘みがある。ルートビアとは方向性が違い、ゴクゴク飲める。
続けて豆のスープと豚のソテーを味わった。特に豚はカラシをつけて食べると、洋風豚の角煮的な味わいで美味であった。美味しかったので、会計時にエストニア語で「アイター!(ありがとう)」と言ってみたら伝わったので嬉しかった。日本では転んで痛い時にも同じ声が出るので、覚えやすい。
味噌ラーメン
タリンにもイオンモール的な場所があり、そこにラーメン屋「徳丸」がある。ラーメン屋なのだが、寿司なども食べられる総合レストランだ。
カウンター席に座ると、店員さんがせっせと料理する姿が見える。はたしてエストニアのラーメンは美味しいのか?
余談だが、私の大学の近くの交差点「百万遍」では多くのラーメン屋がしのぎを削っており、客の少ない店はすぐに淘汰されてしまう。その中でも京大生にとりわけ不人気な北海道ラーメン屋Dは、何故か潰れない。もっと美味しいラーメン屋が入ってほしいと皆願っている事だろう。
そんな事に思いを馳せていると、丼が運ばれて来た。
私が注文した「白ラーメン」だ。トッピングから異国情緒が漂う。まずはスープをすする。
うまい。びっくりした。ココナッツオイルで炒めた野菜と、味噌と豚骨をブレンドしたスープが絶妙にうまい。スープに出汁の概念がある事に感動だ。
続けて麺を口に入れたが、こちらもコシがあって美味しい。やや硬めの茹で具合は好みが分かれそうだが、アルデンテのようで私は好きだ。日本的な美味しさを保ちつつも、エストニアの風味が染みている。百万遍の店Dを1とすると、このラーメンは10だ。是非、百万遍にもオープンして欲しい。
ちなみに友人が頼んだ「海老塩ラーメン」はこちらだ。
トッピングはオーソドックスな感じだ。私は食べていないのだが、本人の言葉を借りると「中華料理屋のスープにスパゲティが入った感じ(美味しかった)」らしい。
エストニアに住みたい
タリンは建物が綺麗だが、道路も大変綺麗だ。道路掃除人が沢山いて、落ち葉すら落ちていない。ロシアやニューヨークに多い、観光客からチップをたかる人もいない。皆おっとりした雰囲気で、道端では音楽を奏でたり絵を描いたりしている。素敵な国だ。