つなブログ

日々の記録です

エジプト人に鼻血の止め方を聞く

鼻血を軽視してはならない

皆さんも人生で一度くらい鼻血が出たことはあるだろう。チョコレートを食べ過ぎたり、はしゃぎすぎたり… しかし、皆さんは「なんだ、鼻血か」程度にしか思わないだろう。このような態度を取ることは、鼻血に対して失礼極まりない態度であり、鼻血大明神の逆鱗に触れることになる。決して鼻血を軽視してはならない。深くお辞儀をしながら「お忙しい中ようこそいらっしゃいました、鼻血様」と厳かな態度で向き合い、鼻血大明神に丁重な祈りを捧げるべきである。

 

私が鼻血を恐れるのは、エジプトで鼻血地獄を味わった為である。決して鼻血を軽視するなという戒めを込めてこの記事を執筆することにした。

 

発端

憧れのエジプト旅行が実現した私は、鼻の奥から湧き上がる喜びを抑えきれなかった。乾燥した空気と、堂々とそびえたつピラミッドが私の血を沸かせた。特に、ピラミッドを3つ同時に見れるこの場所では「同時に3つも見ていいのか?!」とお得感に打ちひしがれた。

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こんな素敵な場所に来れば、ウキウキしてしまうものだ。私は存分にウキウキすることにした。

 

フォ~~~~~~~~~~~~!!!

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イェェェエ~~~~~~~~~~~イ!

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ヤッホ~~~~~~~~~~~~~~イ!

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今から思い起こせば、神聖なピラミッドの前で全力のウキウキを披露したのが間違いであった。鉄の匂いと、氷のような感触に包まれ、私の顔は真紅の液体で染まっていた。鼻血だ。

 

この時鼻血を丁重にお迎えしていれば事態は悪化しなかっただろうが、私は鼻血を軽視していた。適当に詰め物をしていれば、そのうち固まるだろう、と。

 

鼻に詰め物をした私は、更に溢れるウキウキを爆発させた。

 

うぉおおおおおおおおおおおおおおおお

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鼻血なんて知るか~~~~~~~~~~~

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この行為が鼻血大明神の逆鱗に触れたのは言うまでもない。私の鼻血は止まる気配がなく、力強く鼻の奥深くから流れ出し、幾多のティッシュを真紅に染め上げた。

 

止まらない鼻血

太陽の船」の展示にたどり着いた時、私の鼻血は頂点に達した。何度ティッシュを詰めても、溢れる鼻血が止まらないのだ。展示に目もくれず、トイレに駆け込んだ私は洗面台に鼻血を垂れ流した。

 

エジプトのトイレ事情を説明しておこう。エジプトの観光地でトイレに行くと、基本的にチップが必要である。チップを回収するためにトイレの前には「番人」が常駐しており、チップなしでトイレを使おうとすると引っ張られる。

 

郷に入れば郷に従えというので、快くチップを払うつもりであったが、鼻血が酷すぎてそれどころではない。番人のおばちゃんも血まみれの私を見て察したのか、何も言わず通してくれた。ひたすら血を流していると、彼女はエジプト流止血法を伝授してくれた。「上を向いて、鼻の付け根を手で押させなさい。」どうやら止血法は世界共通のようだ。

 

おばちゃんに従い上を向いていた私だが、血が口の中に溢れてくる。洗面台に血を吐き、血まみれの手を洗う。そんなことを繰り返すうちに、おばちゃんが次の手を打った。

 

「救急車呼んだわ」

 

冗談ではない。鼻血で救急車を呼ばれるなんて、前代未聞だ。海外での治療はお金もかかるので、こんな事態は避けたかった。しかし、もう為す術もないので、諦めて鼻を押さえた。

 

しばらくすると、肩に蛇のマークが入った救急隊員がやってきた。もっと緊急の人もいるだろうに、迷惑をかけている申し訳無さで一杯だった。事情を話すと、隊員は「えっ… 鼻血?」みたいな顔をしながら止血法を伝授してくれた。「上を向いて、鼻の付け根を手で押させなさい。」そう告げると彼は去っていった。

 

その後も鼻血はドクドクと流れ続け、私の顔には肥沃な三日月地帯が形成された。河の周りでは農耕が発達し、運河が完成した。人々の生活は潤い、恵みをもたらした鼻血大明神に祈りを捧げ、ピラミッドを建築した。鼻血万歳!

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街の中でも鼻血

一刻も早くホテルに帰りたかったが、団体ツアーで参加していたため、やむを得ずバスでメンフィスへ移動した。バスの中で休憩したかったが、運転手がどこかに行ってしまった。仕方なく、トイレで顔を洗うことにした。

 

このトイレにも番人がいたが、私が鼻を抑えていると心配しながら中に入れてくれた。彼は丁寧にも、鼻の詰め物の折り方を伝授してくれた。折り紙のように複雑な手順で、これがエジプト流の折り方か… と感心した。正直よく分からなかったので、適当に丸めて鼻に詰めた。

 

バスの前にある椅子に腰掛け、鼻を抑えていると見知らぬエジプト人がいきなりバナナを差し出してきた。

 

「大丈夫?これ、サービス!」

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意味がわからない。どう考えてもバナナを食べている場合ではない。鼻血が出ているときにバナナを勧められたことは人生初である。しかも、ご丁寧にバナナを剥いて渡されたため、もう食べるしか無い。彼はどういう気持でバナナを勧めたのだろう。私が知らなかっただけで、鼻血にバナナが効くのだろうか?バナナの皮を鼻に詰めればよかったのだろうか?謎は深まるばかりだ。

 

帰国後も鼻血

血まみれの旅行となってしまったが、帰国後も2周間程鼻血が続いた。なぜこれほどまでに鼻血が出たのか。一説によると、「ピラミッドの呪い」と「鼻血大明神の怒り」が融合して鼻に大災害をもたらしたと言われている。皆さんは、くれぐれも鼻血を軽視しないで頂きたい。

 

エジプトで鼻血を出すと、下記のような処置を施される。エジプトに行くときは参考にして欲しい。

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